障害年金について

- ①老後の生活のための老齢年金
- ②残された家族のための遺族年金
- ③そして、病気やケガの時の障害年金です。
現在、障害年金を受けておられる方は、全国に約200万人おられますが、その一方で障害年金を申請したにもかかわらず、給付が認められず、受給できなかった方も毎年一定数おられます。
令和3年度においては、障害年金の新規申請件数は、130285件ありました。厚生労働省の統計では、わが国には、964万人の障害者の人達がおられます。これらの方の中には申請をされる前の段階で、受給は無理と考えて、申請をあきらめてしまうケースや、そもそも、障害年金の制度をご存じないために、申請が遅れるケースも多数あるのが実情です。
障害年金を受給することは、所得の減少を補うことのみならず、これからの生活に対する経済的不安を少しでも取り除き精神的な安定を得るということにも繋がります。まず、主治医の先生にも、障害年金を受給したい旨を相談してみてください。障害年金に明るい先生であれば、受給できるかどうか、教えてくださいます。
障害年金の対象となる傷病について、
障害年金請求用の診断書(8種類)に応じた分類
- 目の障害(使用する診断書:様式第120号の1)
- 白内障、緑内障、ブドウ膜炎、眼球委縮、癒(ゆ)着性角膜白斑、網膜脈絡膜萎縮、網膜色素変性症、糖尿病性網膜症 など
- 聴覚・鼻腔機能・平衡機能・そしゃく・嚥下機能・言語機能の障害(使用する診断書:様式120号の2)
- メニエール病、感音性難聴、突発性難聴、内耳障害外傷性鼻科疾患、咽頭摘出手術後後遺症、 上下顎欠損 など
- 肢体の障害(使用する診断書:様式120号の3)
- 上肢または下肢の切断、人工関節挿入、パーキンソン病、脳腫瘍、脊髄損傷、脳血管障害による後遺症、重症筋無力症、関節リウマチ、多発性硬化症 など
- 精神の障害(使用する診断書:様式120号の4)
- うつ病、双極性障害、てんかん、統合失調症、認知症、知的障害、発達障害、その他原因不明の精神病 など
- 呼吸器疾患の障害(使用する診断書:様式120号の5)
- 肺結核、じん肺、気管支ぜん息、慢性気管支炎、膿胸、肺線維症 など
- 循環器疾患の障害(使用する診断書:様式120号の6-1)
- 慢性心包炎、リウマチ性心包炎、慢性虚血性心疾患、冠状動脈硬化症、狭心症、僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、心筋梗塞、悪性高血圧 など
- 腎疾患・肝疾患・糖尿病の障害(使用する診断書:様式120号の6-2)
- 慢性腎炎、ネフローゼ症候群、慢性糸球体腎炎、慢性腎不全、肝硬変、多発性肝腫瘍、肝がん、糖尿病 など
- 血液・造血器・その他の障害(使用する診断書:様式120号の7)
- 悪性新生物、HIV感染症、その他生活や労働に制限を及ぼす傷病 など
障害年金受給のための3つのハードル
1つ目のハードル「初診日」を特定できること。
まず初診日を特定し、その証明書類(受診状況等証明書や診断書)を医療機関から取得します。医療機関がすでに無い場合やカルテの保存が無い場合には、その他の手段により、証明します。
初診日がいつになのかは、障害年金を請求するうえで、とても重要です。なぜなら初診日が基準になり、保険料の納付要件や、障害認定日が決まるからです。初診日がいつになるかで、請求手続き全体に影響が出てきます。
- 注)「初診日」とは、障害年金請求にかかる病気やケガで初めて医療機関を受診した日です。
2つ目のハードル保険料の「納付要件」を満たしていること。
初診日を基準にして、年金保険料の納付要件を満たしていることを、日本年金機構の年金記録により確認します。
- 注)納付要件は、初診日の月の前々月から過去1年間(12か月)未納がないことまたは、初診日の月の前々月までの全加入期間のうち、3分の2以上の月において、保険料が納付されていることが必要です。
3つ目のハードル「障害認定日」において、障害等級に該当すること。
障害認定日は、初診日から起算して、1年6か月目と決められています。
障害認定日において、障害状態が、国が定めた障害等級に該当することが必要です。
ここでは、日常生活や仕事をする上で、どれだけ支障がある状態かどうか判断されます。障害者手帳の等級区分とは、異なる観点から、該当性の有無が判断されます。
- 注)国の障害認定基準は、病気やケガの種類に応じて、19項目があります。
- 注)精神の障害については、障害認定基準のほかに、精神の障害に係る等級判定ガイドライン(平成28年7月)が定められています。
障害等級(1級から3級)の目安について。
1級 | 他人の介助を受けなければ日常生活がほとんどできないほどの障害の状態。入院や在宅介護が必要で活動の範囲がベットの周辺に限られるような状態。 |
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2級 | 必ずしも他人の助けを借りる必要はなくても、日常生活は極めて困難で、労働による収入を得ることはできないほどの状態。家庭内で軽食をつくるような軽い活動はできても、それ以上の重い活動はできない状態。 |
3級 | 労働が著しい制限を受ける、又は、労働に著しい制限を加えることを必要とする状態。日常生活にはほとんど支障がないが、労働については制限がある状態。(※3級は、障害厚生年金のみに設けられています。) |
障害基礎年金(国民年金)、障害厚生年金(厚生年金)の額 令和5年度
〇障害基礎年金(国民年金)
1級 | 993,750円 |
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2級 | 795,000円 |
※子の加算:228,700円/人(3人目以降は、76,200円)※1
〇障害厚生年金(厚生年金)
1級 | 993,750円(障害基礎1級)+ 報酬比例の年金額×1.25(+配偶者の加給年金額228,700円)※2 |
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2級 | 795,000円(障害基礎2級)+ 報酬比例の年金額(+配偶者の加給年金額228,700円)※2 |
3級 | 報酬比例の年金額(最低保証額596,300円) |
障害手当金 | 3級の障害年金の2年分(最低保証額1,192,600円)※3 |
- ※1 18歳到達の年度末までにある子(障害等級2級以上に該当する場合は20歳未満まで)
- ※2 65歳未満の配偶者
- ※3 3級の障害よりやや程度の軽い障害が残った場合に支給されます。
20歳前傷病による障害/業務上の傷病による障害
20歳前傷病による障害基礎年金について
20歳前の傷病(先天的な傷病を含む)の場合、国民年金から障害基礎年金(1級又は2級)が支給されます。障害等級に該当することは必要ですが、「初診日」は、20歳前にあることになり、掛け金の納付要件も、求められません。
もし、20歳前傷病による障害基礎年金を受給されながら、就労し、厚生年金に加入すれば、将来厚生年金分が加算されますので、積極的に就労することは、経済的基盤を築くことになります。
ただし、障害年金の更新時には再度、主治医に診断書を書いて頂きますので、就労がどの程度可能かどうか事前に相談することが求められます。
業務上の傷病による障害について
厚生年金の加入中に、業務上のケガを負ってしまった場合でも、障害年金は、受給することができます。
但し、障害年金が支給される場合、労災保険法から支給される障害給付は、一部支給が制限されます。